デッサンに手を出してそろそろ一か月になります。
ちなみに尻は石膏像の写真を元にしてるんで厳密にいうとデッサンじゃなくて模写になってしまうんですけど、そのへんつっこむと話がややこしくなるので今日のところは勘弁してください。
前にも書いた「漫画絵にデッサンは必要か」というお題。
そこからしばらく続けてみて、いろんなことがわかってきたので、その話をしたいと思います。
こういう感情は新鮮なうちに記録しないとね。
また新しいことを学べば解釈も変わっていくかもしれません。セーブポイントセーブポイント。
しっかし「必要か」ってタイトルだと必要と不要の二択で不毛な議論になってしまいますね。
万人に必要なものも不要なものもこの世に存在しませんよってに。
大事なのは「必要だと仮定して、どういった効果があるか、どう使うか」で、それが必要か不要かは受け手が判断するものですわ。
技術単品の効果って証明するの難しいですよね。
上手い人に「デッサンで漫画絵はこれだけ上達します」と過去の絵を見せられても、いやこれこの数年間にデッサンだけしてたわけじゃないでしょ並行して他の勉強もしてるでしょとしか思えないのが人情です。
そこで、単純にデッサン「だけ」でどういう効果があるのか、自分の思ったところを話してみようと思います。
絵を上達させる方法とは何でしょう。
神絵師の生き血を飲むとか神絵師の利き腕を食べるとかいろいろあると思いますが、基本は上手い絵とはどういうものかを知って自分もそれを行使できるようにすることですよね。
描かれた物の分析と実行、要は模写が基本になります。
んで、デッサン。
デッサンも対象が三次元になるだけで、要するに形を覚えるためにやるんでしょ、でも自分の絵柄ではリアルなおっさんとか筋肉とかリンゴなんかが描けるようになってもあんまり役に立たないからわざわざやるもんじゃない、というのが、皆の思うところだと思います。
しかし、そんな役に立たない絵柄の自分がデッサンに手を出してみて思ったんですよ。
デッサンの目的は形を覚えることではない。むしろ覚えてはいけない。
おっさんの顔や尻を描いておっさんの顔や尻だけが上手くなるのであれば、それは方法論として間違っている。
物の形を思い込みで描いてしまうことをなくすためにデッサンをやるのだと。
形を覚えなきゃならないのに形を覚えないようにするってなんやねんって感じですよね。
そこなんですよ。
デッサンは絵の練習ではなくて、絵の練習のための道具的なものだと自分は思うんです。
デッサンの経験の有無で練習の精度がどれぐらい変わるか、ちょっとやってましょう。
まずは「描けない」。
描き方を知らない状態から。
ところで講座でよくある「下手な絵の例」って、上手い人がわざと崩して描いてるからか「いやこれ上手いじゃん」って感じることが多くないですか。
描けないってのは、もっと、こう、根本的にアレなんですよ。世界が違うんですよ。
街頭で一般人相手にうろおぼえで絵を描いてもらうアレみたいな感じですよ。
生まれてこのかた一度も描いたことのない物ってことで、試しにドラゴンボールZの悟空を描いてみます。
なんでいきなりドラゴンボールが出てきたのかは謎ですが、世の中だいたいそういうものです。
知ってるけど描いたことのないちょうどいいラインの題材を探すのって難しいんですって。
そういうわけで、描いたことのないものを、何も見ないで描きます。(図①)

よっしゃ!!(よくない)
本気で描いた! 100%本気で描いた! わざと下手に描いたわけじゃないぞ!
これで悟空だとわかるほうが難しい感じですが、毛の生えた天津飯ぐらいには見えるのでセーフ!
鳥山明キャラに見える時点で60点ぐらいもらっていいと思います!
この髪型、チョコボ頭が混ざってますね。ポリゴンがカクカクな時代の。
あと袖がすっごい微妙に破れているあたり、自信のなさが見て取れます。
コレジャナイのは明らかなんだけど、見覚えがあるからといってそれを描けるわけではないんですよ。
この勢いで、資料を見ながら描きます。(図②)

コレジャナイ。
見て描いたのにコレジャナイ。
頑張ればツンツンヘアーのヤムチャぐらいには見えなくもないですが、悟空ではないですね。
なんでZを選んだんだ子供時代の悟空にしておけばもう少しマシだったろうにと思いますがもはや手遅れです。
自分の手癖絵の頭身に顔だけはめ込んだアンバランスさ。
ちゃんと絵の勉強をしてきた人には信じがたい事だと思いますが、我々レベルではこの程度でも「模写」と呼んだりします。
模写になってねぇ。
見ているようでちゃんと見れていない。
何度描き直しても似ないときに、何ができていないのか、どう見ればいいかというのを知らないと、ここで止まってしまうんです。
デッサンの要領で模写します。(図③)

やっと悟空になりました。
まだいろいろ微妙なところは残ってるんですが、もう許してください。
「目の前の物をそのまま描く」という、デッサンの中でもごく一部にすぎない技法だけでも、これぐらい変わるわけで。
空間とか陰影とか質感とかそういうデッサンの本質(自分は全然できてない)を除いてこれですよ。
今回は絵を元にしたのでそのへんすっ飛ばしましたが、実物をモデルにするなら必要になってきますよね。
図③と図②では、同じ「1回の模写」でも得られる経験値が変わってきます。
図②の模写で止まってしまっている限り、図②レベル以上の絵は身に付きません。
たまたま奇跡的な線が引けることもあるかもしれませんが、それを待っているだけではなかなか先へは進めないでしょう。
問題集や模試って、解くことそのものよりも答え合わせのほうが大事ですよね。
自分の絵と正解との差分を知って正解に近付くための行動、それがデッサンだ、そう思うのです。
まとめると、デッサンは練習のための土台。
手ではなく観察眼を鍛えるもの。
デッサンが上手くなったからといって漫画絵が上手くなるわけではなく、漫画絵の練習が効率的に行えるようになる。
いわば取得経験値UPアビリティ。
効率よく練習をしたいなら取っといたほうがお得って感じだと思います。
はくしゅへんじ。
> ほぼすべての段落で「わかる…」ってつい呟いてしまった。特にSEOの件。閲覧数を稼ぎたいだけの記事ばっかり上に来るのが気にくわない。
わかってくれたか!
いわゆる「ググってもカス」現象。
アフィのために閲覧数稼ぐには量産が鉄則だから内容の裏取りも書き手の感想もロクにない記事ばっかり上位にあるんだよね。
なんかもう似たような量産記事見すぎて、ページテンプレと最初の数行でだいたい嗅ぎ分けできるようになってきた。
自分にとって不要なサイトをリストにして検索結果から見えなくする機能があれば平和になるのに。
> 刑法には詳しくないんですけど、当選しました系とかウイルスが系とかのリダイレクト広告だけでも警察でなんとかならないんですかね……
刑法とな。そうなると架空請求に該当するかがポイントになると思うけど、金品を要求してるわけじゃないからねぇ。事件性もないし。
スパムと同じで、結局は受信側が対策するしかないっていう。
話それるけど、リダイレクト広告の派生で当選しました系が出てきたとき、関西人は振り込め系の詐欺には強いけどお金あげます系の詐欺に弱いっていうのを思い出した。進化してるねー。
> そういう時は「設定」「検索オプション」で検索対象の範囲を本文のみにすると、ちょっとだけましになるかもしれない。
それと、立体で思い出したけど、ちびまる子ちゃんのアニメ初期は原作の構図再現してたが、別作品やるときにパースが訳分からんくなるってんで、再現やめたって話を聞いたことがあります。
なるほど、見出しまわりを除外するのか。たしかに見出しはSEO対策で重視されるところだとかなんとか。
たしかにアニメ初期はテーブルが真四角だったり謎の平行投影だった気がする。今はちゃんとパースついてるんだね。
パースまわりが変わっても言われるまで気付かなかったってことは、堂々とやればなんとかなるんだろうか……うーん……