あーん!コミクロンが死んだ!
先生のカバッ!!え~ん
容赦ない惨殺っぷりだった。このシーンのためにアニメ見ててよかった。
それでは普段の日記に戻りましょう。
小説を読んでいると、「ああ、これは漫画では表現できないだろうな」と思うことがちらほら。
小説やRPGのシナリオを書いていた、いわゆる字書きが漫画を描くと、必ず大きな壁にぶち当たります。
それは、間の取り方!
物語を作るときのイメージって人それぞれだと思うんですけど、自分はふわっとした空気がまずあって、おぼろげな動画で再生されてそれを文字で固定していく感じ。言語優位タイプですね。文章はリズム感を重視しています。正しい文法?知らんな。
コマ割りや構図は、まだ自分が未熟だからで割り切れる。
これまで小説やシナリオで伸ばしてきた我々の使える武器は何か。そう、台詞回しと構成ですね。
はい死にますー、それ死にますー。
台詞回しが得意な人ほど!
フキダシに入らないんですよ! ギッチギチなるで。
あと、改行位置も上手くいかなかったり。(自分的に文節の位置はかなり重要)
なので、物語が作れるから漫画もいけるかもと思っていると、絵以外のところで想定外のダメージを受けて死にます。
漫画初挑戦のときにこれでウボァーしてましたね。
「セリフを簡潔に漫画らしくアレンジする技術」
「長いセリフを自然に読ませる技術」
このどちらか、もしくは両方が必要になってくるわけです。
それぞれに特化したアレンジを施したものとして、そういえば興味深い例があったな、と。
オーフェンの番外編のコミカライズなんですけど。
待って! 帰らないで! またオーフェンの話かって思わないで!
もうコミクロン尊いコミクロン尊い言わないから!
本編とは独立した短編である無謀編とプレ編のコミカライズ。ダークシリアスな本編とは違って軽いノリ。
独立してるので本編との関係性はあまり意識する必要はないと思いますが、簡単に書いておくと。
無謀編は本編の少し前、モグリの金貸しチンピラやってる話。
プレ編はオーフェン(=キリランシェロ)の少年時代の話。
[ 魔術士オーフェン 無謀編 - Pixivコミック ]
無謀編。
矢上裕先生のガサッとしたペンタッチはエルフを狩るモノたちの頃から好きだった。
さすがはベテランといった作風。相性良すぎて反則。
[ 魔術士オーフェン プレ編 - Pixivコミック ]
プレ編。コミクロンかわいい。
雀葵蘭先生は子供の頃に無謀編でハマったファンだそうで。原作愛を感じる。
読み比べてみると、一話内の情報量が相当違う印象を受けるでしょう。
小説ですから、オーフェンの台詞回しは基本的に長めなんですよ。そんでもってキレッキレなんですよ。
連載当時の無謀編のキャッチコピーは「言葉のナイフが肺腑を抉る、悪口雑言ファンタジー!」。なぜか今でも覚えてる。
無謀編は、コミカライズらしくセリフやシーンをアレンジ。で、自然な読み口になっています。
一方プレ編は、アレンジは最小限で原作の長いセリフを綺麗にコマ内に収めてる。なのにキツキツさを感じさせない。
両方すごい技ですよ。さすがプロですよ。
なんやかんやで大事なのは画作り、動きのある絵だよな、とも感じます。
我々のようなシナリオ書きはさ……いい感じの言い回しができただけで満足してしまうんだよ。
RPGのキャラチップは細かい動作の必要ないですから。会話はだいたい棒立ちですから。
オーフェンは地の文の動作のひとつひとつが良いわけで、それが絵で再現されているのを見ると嬉しくなります。
机にあごを乗せるコミクロンかわいい。
てか、漫画版プレ編の再現度は本当にすごい。普通、コミカライズって、かなり省略入るじゃないですか。
それがほぼ原作通り。もちろんある程度の省略や変更はありますが。原作に対する敬意とこだわりが半端ない。原作で視覚的な表現がない部分をどう絵にするかとか。
ものすごい丁寧に描いてるけど、ちゃんと3巻出るのかな……
メディアミックスの際の改変には、ある程度寛容であるべきなんですが。
厄介なのは、メディアミックスを元にメディアミックスされるパターン。
孫引きですから独自解釈に独自解釈が重なってわけわからんことに。原作未読の二次創作なんぞフルボッコもんでしょ。
アニメ版オーフェン、どうも新コミカライズ版の孫引きっぽく感じるんですよ……たまに原作読んでないんじゃないかって演出あるし。
[ 魔術士オーフェンはぐれ旅 我が呼び声に応えよ獣 ]
試し読みは序盤のみ。コミクロンいない。
アニメでオーフェンがコミクロンを認識したときの「手練れを揃えたんだ、見知った顔があるのは当然か」のモノローグは新コミカライズ版のものですしね。(認識して「彼はコミクロンだったのか」じゃなくなる展開も)
この新コミカライズは連載当時、コミクロンが3コマも出てる!とファンの間で話題になったもんです。台詞はないですけど。
単行本では、web連載時にはおさげだったコミクロンの髪型がショートに変更されていて二度美味しゅうございました。コミクロンかっこいい。
小説書きが漫画を描くってのは、自分でメディアミックスするようなもんで。
そりゃあ原作(=今までの自分)どおりやるのは難しいですね。ただ絵が描けてコマ割りができれば済むって話じゃない。
メディアミックスって大変なんだな、と、そう思う次第です。